オーラルケアの適切な方法とは?メリットや便利なケアグッズを紹介

お口の健康を保つには、正しいオーラルケアが必要です。丁寧に磨いていたつもりでも、歯並びやケアグッズによっては、実際には磨き残しがあることも多いです。今回は、オーラルケアの方法を丁寧に解説します。正しい磨き方を身に付けて、毎日の虫歯予防に努めましょう。


この記事は約9分で読み終わります。

そもそもオーラルケアとは?

オーラルケアという言葉はよく耳にしますが、デンタルケアとの違いを含め、正しく理解している方は少ないかもしれません。ここでは、オーラルケアの基本的な意味と特徴について解説します。

オーラルケアとデンタルケアの違い

オーラルケア(oral care)は、歯や歯ぐきだけでなく舌・頬・口腔粘膜など口全体の衛生を保つためのケアを指します。虫歯や歯周病、口臭などを予防・改善する総合的な口腔ケアです。

一方で、デンタルケア(dental care)は歯と歯ぐきに焦点を当てたケアで、虫歯予防や歯の矯正、ホワイトニングなど「歯の健康・美しさ」を維持するためのものです。

つまり、デンタルケアが部分的なケアであるのに対し、オーラルケアは口全体を対象とする包括的なケアといえます。

オーラルケアをするメリット

毎日の歯磨きやデンタルフロスなどのオーラルケアには、単に口の中を清潔に保つだけでなく、健康全体に関わる大きなメリットがあります。

ここでは、オーラルケアによって得られる具体的な効果について解説します。

虫歯や歯周病の予防

オーラルケアの基本的な目的は、虫歯や歯周病を防ぐことです。

ケアを怠ると、ミュータンス菌が歯の表面に付着して歯垢(プラーク)を形成し、酸でエナメル質を溶かします。これが虫歯の始まりです。

また、歯と歯ぐきの間に細菌が繁殖すると、歯肉に炎症が起きて腫れや出血を伴う歯周病へと進行します。

日々のオーラルケアによって、こうした病気を未然に防ぐことができます。

口臭の予防

オーラルケアは口臭対策にも欠かせません。

食べかすや歯垢を放置すると、歯周病菌がガスを発生させ、嫌な臭いの原因になります。また、舌の表面にたまる舌苔には細菌やタンパク質が多く含まれ、これも強い口臭を生み出します。

歯と舌の両方を清潔に保つことで、口内のネバつきや不快な臭いを防ぐことができます。

全身の健康維持

口の中の健康は全身の健康にも直結しています。

歯周病菌は血流を通じて全身に広がり、糖尿病や心疾患、脳梗塞、誤嚥性肺炎、さらには早産などのリスクを高めることが明らかになっています。

さらに、口腔内の衛生状態が悪いと、インフルエンザなどの感染症にもかかりやすくなります。オーラルケアを徹底することは、身体全体の病気予防にもつながります。

QOLの向上

自分の歯で食事を楽しめることは、人生の質(QOL)を大きく高めます。

しっかり噛めることで食欲が増進し、唾液の分泌が促されて口内の自浄作用が高まるだけでなく、消化も助けられます。

さらに、栄養をバランス良く摂取できることで、体力や免疫力の維持・向上にもつながります。日常的なオーラルケアは、健康で豊かな生活を支える基盤といえるでしょう。

歯科医院で行うオーラルケアとは

オーラルケアには、自宅でのケアだけでなく、歯科医院で受ける専門的な「オフィスケア」もあります。

歯科医院で受ける「オフィスケア」は、専門知識と技術を持つ歯科医師や歯科衛生士が、口内を丁寧にチェックしながら一人ひとりに合ったケアを行います。

主な内容は、歯石除去やフッ素塗布、歯列矯正のほか、薬剤を使用したホワイトニング、口臭治療を目的としたクリーニング、ドライマウスへの治療などがあります。

これらのケアによって、歯や歯ぐきの健康を守り、口臭や虫歯、歯周病の予防にもつながります。

ただし、歯科医院でのケアだけでは不十分です。自宅での「ホームケア」を毎日の習慣として正しく行うことが、口内環境を良好に保つための基本です。

次の章では、ホームケアの方法とグッズの選び方を紹介します。

オーラルケアに使えるグッズ5選!自分に合った選び方を解説


オーラルケアに使えるグッズはさまざまです。人によって歯並びやお口の状態は違うので、自分に合ったものを選びましょう。

ここからは、オーラルケアに使えるグッズと選び方を紹介します。

歯ブラシ

歯ブラシの形にはさまざまなタイプがありますが、毛先がまっすぐなものは均等に力がかかりやすいです。そのため、基本は毛先がまっすぐにカットされているタイプがおすすめです。

ただし、歯並びによって歯間が磨きにくいと言った場合は、山切りカットや超極細毛などを選ぶと良いでしょう。

毛の形には、主に毛先が細く尖っているテーパー毛と、丸く加工されているラウンド毛があります。どちらが適しているかは、歯周ポケットの深さや磨き癖によって異なりますので、歯科医院で自分に合う毛タイプを相談してみるのもひとつの手です。

ブラシの硬さには大きく「やわらかめ」「ふつう」「かため」の3つがありますが、迷ったら「ふつう」を選ぶのがおすすめです。歯ブラシが硬いと歯を傷つけてしまうおそれがあり、逆に柔らかいと汚れがしっかりと落とせないことがあります。

ただし、普段の磨く力が弱いならかためを、歯ぐきが弱く出血しやすいならやわらかめが良いでしょう。自分のお口の状況に合わせて選ぶのがポイントです。

デンタルフロス・歯間ブラシ

歯ブラシで磨くだけだと、どうしても歯の隙間に磨き残しが起きてしまいます。デンタルフロスや歯間ブラシを使って、歯と歯の間を磨くことも大切です。

・デンタルフロス

歯と歯の間を清掃するグッズです。糸状になっていて、ブラシが入らないくらいの歯と歯の狭い隙間に滑らすようにして入れて使うことで、プラーク(歯垢)や食べかすなどを除去できます。

フロスにもいろんなタイプがあるので、自分に合ったものを選びましょう。フロスの選び方や使い方については以下の記事をご覧ください。

デンタルフロスで歯垢を除去!正しい使い方と注意点を解説

・歯間ブラシ

歯間ブラシも歯と歯の間を清掃するグッズです。小さなブラシの形状をしており、大抵は超極細タイプのSSSから普通タイプのMまで4段階のサイズに分けられています。

サイズ ブラシ通過径(mm) 適した部位
SSS ~0.8 隙間が最も狭い部位
SS 0.8~1.0 狭いものの、SSSだと緩い部位
S 1.0~1.2 少し広めの隙間。歯ぐきが下がっている部位など
M 1.2~1.5 やや広めの隙間

このように隙間の広さによって適したサイズが異なるため、自分に合ったものを選びましょう。

また、歯間ブラシにはI字型とL字型があります。前歯の隙間にはI字型、奥歯の清掃にはL字型がおすすめです。

タフトブラシ

毛束がひとつのヘッドになっている歯ブラシが、タフトブラシです。タフトブラシを使うと、普通の歯ブラシでは届きにくい部位も磨くことができます。

タフトブラシは大きく「山型」と「平型」に分けられます。歯と歯ぐきの境目、歯と歯の隙間などを磨くのには山型がおすすめです。平型のものは歯周ポケットの奥の汚れをかき出すといったときに適しています。

タフトブラシを使ったケアは、以下のような方に向いています。

・入れ歯を装着している方

・歯の矯正を行っている方

・口が小さくて普通の歯ブラシだけでは磨きにくい方

・歯科医院で磨き残しを指摘された方

マウスウォッシュ・デンタルリンス

マウスウォッシュとデンタルリンスも、オーラルケアに役立つアイテムです。

種類には洗口液と液体歯磨きがあります。どちらも液体で見た目は似ていますが、使い方が異なります。

洗口液は、口に入れてゆすぐだけのアイテムです。一方、液体歯磨きは歯磨き粉を液体化させたものです。ペースト状などの歯磨き粉と同様に、すすいだ後は歯ブラシで磨く必要があります。研磨剤が入っていないため、歯を傷つけないのがメリットです。

また、医薬部外品と化粧品の2種類があります。口の中を浄化したり、スッキリさせたりするだけでなく、虫歯や歯周病予防、口臭予防を期待するなら、医薬部外品の商品を選びましょう。

電動歯ブラシ

歯ブラシが振動し、短時間で効率的に磨けるのが電動歯ブラシです。電動歯ブラシには、「回転式」「振動式」「(超)音波式」などの種類があり、それぞれ特徴が異なります。

・回転式

円形のヘッドが左右にクルクルと回転して汚れを落とすので、しっかりと汚れが落ちているのを実感できるタイプです。歯を1本ずつ丁寧に磨きたい方に適しています。

・振動式

モーターでブラシを振動させることで汚れを落としていくタイプです。音波式と比較すると低価格のものが多く、電動歯ブラシははじめての方でも気軽に試しやすいといえます。

・音波式

音波式は200Hzを超える振動によって歯垢を除去する電動歯ブラシです。ブラシの振動によって水流や気泡が発生し、手磨きでは届きにくい部分の歯垢にもアプローチできるのが特徴です。

・超音波式

超音波式は、音波式よりもさらに高い周波数、1.6M Hz以上の超高速振動を利用するタイプです。振動自体が非常に微細なため、ブラシの物理的な動きによらず、微生物が集合したバイオフィルムなどの汚れを効果的に分解・除去できます。

また、電動歯ブラシを選ぶ際に確認したいのが、ヘッドの大きさです。

電動歯ブラシのヘッドの大きさはさまざまで、ヘッドが大きいものだと一度に広範囲を磨けるものの、奥歯は磨きにくいといったデメリットがあります。自分の口の大きさや歯並びに合ったものを決めることが大切です。

オーラルケアの方法

グッズを揃えたら、早速オーラルケアをしていきましょう。口の中を隅々までケアする具体的な方法を紹介します。

歯ブラシを使って丁寧に磨く

まず、歯ブラシを使って磨き残しのないように磨いていきます。上の歯は右から左に向けて、下の歯は左から右に向かってというように順序良く磨いていくと、磨き残しを防げるでしょう。

特に歯と歯ぐきの間などは歯垢がつきやすいので、歯ブラシを斜め45度にあてて、小刻みに動かしながら磨いていきます。歯並びがでこぼこな部分は、歯ブラシがあたりやすいように縦に動かすのがおすすめです。

ただし、正しい歯磨きをしてもトラブルが起こっている場合は歯科医院で診てもらいましょう。着色汚れは、クリーニングやオフィスホワイトニングをするときれいにできます。

タフトブラシで細かいところを磨く

歯と歯の間や普通の歯ブラシではしっかりと磨きにくい奥歯、矯正器具の周りなどはタフトブラシを使って磨きましょう。タフトブラシは鉛筆の持ち方で持ち、気になる部分にあてて小刻みに動かしつつ磨いていきます。

歯間ブラシ・デンタルフロスを使って歯間をきれいにする

普通のブラシでは届かない歯と歯の間などは、歯間ブラシやデンタルフロスを使って清掃しましょう。

歯間ブラシは、歯間にゆっくりと入れて、前後に複数回動かします。デンタルフロスは、歯にひっかけるようにして入れて上下に複数回動かし、歯の側面を清掃します。

磨いた後は口をすすぎましょう。

デンタルリンス・マウスウォッシュで口をすすぐ

液体歯磨きは口の中に含み、全体にいきわたらせた後に歯ブラシで磨いていきます。

洗口液も同様に口に含んで全体にいきわたらせます。15~30秒間ゆすいだ後に吐き出しましょう。(洗口液の場合、歯ブラシで磨く必要はありません。)

まとめ

正しい方法でオーラルケアを行い続けると、口の中のトラブルだけでなく、ウイルス感染の予防効果も期待できます。

オーラルケアをサポートするグッズを揃えて、本記事で紹介した方法を参考に丁寧なケアを継続するようにしてみてください。

記事をシェア